難聴ゆえの仕事の悩みを解決!難聴歴20年僕のおすすめの方法とは?
2017/07/24
こんにちは。難聴歴20年のライター、ケロスケです。
「パーン!パパパパッ、パ、パパパパパ!!」
僕は若い頃、自衛官をしていました。自衛官の訓練の中に小銃を使った射撃訓練があるのですが、これは非常に大きな音がします。
例えるなら、耳元で爆竹が破裂させたような音。
自衛官時代はそのような射撃訓練を毎日のようにしていた時期があり、これが引き金となって僕は20代半ばにして難聴になりました。
そして医者からは、
「治療しても、もう聴力が戻る見込みがほとんど無い」
「右耳が特に悪く聞こえ具合としては70代の方と同じLV」
「聞こえづらくて不便かもしれないけれど日常生活にさほど支障があるわけじゃないから」
と言われ、一時は絶望しましたが、そんなモノかと思い直し、今日まで難聴と付き合いながら過ごしてきました。
難聴になって20年。難聴ってスゴく不便でデメリットも多いんですよね。
人や同僚と話すのが怖くなったり、仕事に自信が持てなくなることもあります。
僕と同じような悩みを持っている人は多いのではないでしょうか?
その悩み、わかります。
とくにシャレにならないのが生活の糧を得るための仕事。難聴が故の仕事上の苦労って健常者の方には、なかなか理解してもらえません。
今回は、そんな僕と同じ難聴を患っている方に、
- 難聴が故の困りごと
- 難聴を乗り越えて生きる方法
について、僕の経験をお伝えしていきます。
僕と同じように難聴で仕事上の悩みを抱えている方へ、難聴は「工夫」と、それを捉える「心」次第で明るい方面へと気持ちを向けることができます。
僕の経験を参考にしていただき、共に、明るく前向きに難聴に向き合っていきましょう。
目次
難聴の人の悩みと対処法
難聴の人が抱える悩み
僕もそうなのでよく分かるのですが、難聴の方はこんなことで仕事上のストレスを抱え悩み苦しんでいませんか?
そこで、最初に僕が20年間感じてきた悩みをお伝えしてから、僕がそれにどう対処してきたのかを紹介します。
1.上司の指示がよく理解できずミスをしてしまう
「聞き取れて理解できるまで何度も聞き返せばイイじゃん」そんな声が聞こえてきそうですが、いやいやいや、聞き返すことって「聞かれる側」、「聞き返す側」に何気にストレスがかかっています。
ましてや、日ごろから威圧的な態度を取る怖い上司だったら尚更のことですよね。「何度も聞き返す」なんてことは相当なプレッシャーがかかります。
また、聞き返すことが多いことで、理解力の無い無能な部下と判定される不安もあります。
少なくても僕は、この20年で「難聴の可愛い部下を常にフォローし気遣ってあげる」そんな素晴らしい上司に出合ったことはありません(笑)
怖い上司に対して話を聞き返すのって、本当にかなり勇気がいります。
結果。よく理解しないまま仕事を進めて大失敗。
「ちゃんと聴いていなかったのか!!」と、よく上司に怒られたものですが、いいえ、「・・・ちゃんと聞こえていないんです」。
悔しい。何度口答えしてやろうかと思ったものです。
2.電話を取るのが怖い
難聴者にはただでさえ聞き取りづらい会話ですが、それが電話などの電子音に変換されると、さらに聞き取りづらくなります。
特に聞きなれない部署名、名前。さらに相手の方が早口だったり、滑舌(かつぜつ)が悪かったりすると、さらに困難を極めます。
「〇▼ー生◇部の□原です。佐藤さんお〇れますか?」
聞きなれている名前については何となく聞こえるし、たとえ聞き取れなくてもどこの部署の誰の事なのか?だいたい予想がつくこともあります。
ですが、聞きなれない箇所については、もはや、解読不能です。
「すいません。もう一度よろしいですか?」
「〇▼ー生◇部の□原です。佐藤さんいます?」
聞き直しても、やっぱり聞き取れません。流石に3度も聞き返すことは気が引けるので、おおよその予測で電話を取り次ぎます。
結果、「ケロスケ!〇〇さんからの電話じゃないじゃないか!。何を聞いているんだ!!」と、なるわけです。
だんだんと電話を取ることが怖くなりますよね。
3.集中するため疲れる
難聴者は会話の際、
- 相手の言っていることを何とか聞き取ろうとする
- 聞き取れなかった部分を補正するためいろいろ考える
ため、会話にとても集中力を要します。相手の話に集中すると言うと聞こえは良いのですが、難聴者の場合、健常者の方と比較するとプロセスがチョット違います。
【健常者の場合】
- 聞く ⇒ 理解する
【難聴者の場合】
- 聞く ⇒ 聞き取れない語彙を類推する ⇒ 理解する
そのため、相手の話を理解するのにどうしても時間がかかることがあります。
レスポンスが遅れる場合もあるし、当然ですが聞き取れなかった部分については理解できません。また集中力を使いすぎるので非常に疲れます。
結果、「あいつは理解も遅いし、返事も遅い。しかも、なんであんなにいつも疲れ顔をしているんだ」と、なります。
だんだんと人との会話が億劫(おっくう)になりますよね。
4.雑談に入りづらい
同僚とのコミュニケーションを深めるのに雑談は必須ですが、ココにも難聴者への困難が待ち構えています。
特に、上司のグチや、社内の秘め事など、興味を惹くような面白い会話ほどヒソヒソ話になるので、これが聞き取れない難聴者にはなかなか辛いところ。
ヒソヒソ話を聞き取ることは難聴者にとって至難の業です。
ですが、コミュニケーションを円滑にするためにはココの会話へ入らなければならない。
結果、よく理解できていないまま曖昧(あいまい)な相槌を打って乗り切ろうとするのですが、そのときに一番困るのが自分に意見を求められたとき、
「なぁ、ケロスケはどう思う?」
「う~ん、まぁそうだな。ぼちぼち(声小さすぎて何言ってたかわからん)。」
難聴者が明確に返答するのは本当に難しい。
結果、「あいつは人の話を真剣に聞いていない!」と勘違いされます。
しかし、本当は難聴者の方がより話を真剣に聞き取ろうとしているんですけどね。
対処法
難聴者には上の項で説明したように非常に多くの困難があります。
ですが、ただただその困難に負けていたのでは、その後の人生も楽しく明るく生きられません。
ここは一つ、工夫を持ってして難聴も明るく前向きに捉えられるようにしていきましょう!
次に、先ほどの各場面に合ったとき、どう対処すれば良いのか?を僕の実践していることを元に書いていきます。
1.勇気を持って聞き返す
相手の態度や、忙しい、事態が逼迫(ひっぱく)している場面などによっては、「聞き返す」という行為にもの凄いストレスとプレッシャーがかかります。
ですが、仕事上の重要な事項については、やはり勇気を出して聞き返さなければならない時があります。
このときの注意点ですが、語彙(ごい)を選び、慎重にタイミングを見極め聞き返すのがポイントです。
また、自分に聴覚障害があることを説明し、その上で「誠に申しわけありませんが、もう一度説明をお願いします」と聞き返せば、相手もそこまで無下にはしないはず。
辛いところですが、聞き漏らすことによる後々の被害の大きさを考えれば、乗り越えなければならないところです。
大切な事柄、場面ではハッキリと聞き返す勇気を持ちましょう。
2.電話の受信側のボリュームを大きくする
日ごろから電話の受信側のボリュームの調整位置を把握しておいて、自分が電話を受けたときは音量を最大にしておきます。
いつぞやは音量を戻し忘れていて、次に電話をとった同僚が音量の大きさにビックリしていましたが、まぁ、そこはご愛嬌(笑)。
それでも聞き取れない場合は、「すいません。お電話遠いようなんですが、もう一度お名前いただけますか。」と聞き返せば、相手も嫌な顔はしないはず。
ここで嫌な感じに受け答えが変わる人に対しては、「あぁ、この人心が狭いんだな。」って思って、でも広い心でもって許してあげる。
これが僕のテンプレです。
3.細かいことは気にしない
相手の話が聞き取りづらく話の内容が理解できなかったとしても、よほど重要な場面で無い限りあまり気にしないようにしています。
理由は2つ、
- ポイントとなること以外どうせ大した内容ではない
- どうせ次の日になれば会話の内容はほとんど忘れる
からです。僕はこのように文章を書く仕事をしているので思いますが、「本当に伝えたい事」って文章全体からすればほんの僅かなポイントだけです。
あとは枝葉末節。とるに足らない部分の方が実は多かったりします。
ですから、全ての話を聞き取ろうとして、多くのとるに足らない部分のために耳をかたむけ、集中力を使い続けることは、ある意味では無駄かもしれません。
また、人は聞いた話を次の日には74%忘れるというエビングハウスの忘却曲線の例もあります。
「相手の言ってることが全部理解できなくても良い」そう割り切るようにしてから、ずいぶん気持ちが楽になりました。
4.情報の発信者になる
難聴者とは言うまでもなく、音が聞きづらく、相手の会話を聞き取りづらい人のことを言います。
この「聞き取りづらい」と言うのが実はミソで、相手の話の「聞き役」に回るから不利なのです。
だったらと、僕が考えたのは「スピーカー:speaker(話す人)」になること。
情報の発信者となり、自分が会話の流れをつかんでいれば良いのです。スピーカーになれば多少聞こえなくても会話は成立します。
スピーカーになるのは、本当におすすめでコレがマスターできれば、
- 難聴者であっても会話に困らない
- 話すことで自信がつく
また余談ですが、会話をリードすることが得意になりますので、以前と比べ「異性にモテる」などの副次効果も期待できますよ(笑)
最後になりますが、先ほども書きましたように時には相手に聴覚障害のことを説明し、「実はよく聞こえていなかった悪ぃ」などと言ってキチンと相手に分かってもらうことも必要です。
また、「あっ、ごめん今世界平和について考え事してて聞いてなかったわ~」など、開き直り、さり気なくジョークでやり過ごす心の余裕も持つようにしましょう。
以上が僕の仕事上の悩みと対処法です。
これらを踏まえると、難聴の人に是非おすすめしたいポイントがあるんです。
次は僕の普段の心がけから、皆さんにお伝えしたい事を書きます。
僕が心がけていること
難聴者である僕は人と会話するときに普段から、
- なるべく大きな声で話す
- 会話を自分からリードする
- 自信を持って接する
この3つを心がけています。と言うのも、
「なるべく大きな声で話す」ことで、相手もつられて声のボリュームが大きくなり、話しが聞き取りやすくなります。
「会話を自分からリードする」ことで話の流れをつかむことが出来、会話の主導権を握ることが出来るから、会話の主導権を握り主に自分が話すようにすれば難聴であることはさほど気になりません。
また、この2つを実行するには自分に自信を持ち、勇気を持って人と接することが何よりも大切です。
僕は、声が通る人、声が大きい人が好きです。なぜなら聞きやすく何を言っているかが分かるから、反対にチョット苦手なのがボソボソしゃべる人、声が小さい人。
静かな場所で話す分には十分聞き取れるのですが、ガヤガヤとしたところ、距離が遠い、ところではこういった方たちの会話はなかなか聞き取れません。
しかしながら、そういった人たちが悪いわけでも何でもありません。だって、個性なんだから。
難聴者の僕の都合だけでボソボソしゃべるから、声が小さいから、を理由に会話を避けるわけにはいきません。
会話をしていて、なるべく相手に不快感を抱かせないような、また自分も不快になることが無いように上の例を参考に自分なりの工夫をしていくということが大切です。
と、いうことで他にも、僕が工夫していることを大まかにあげていきますね。
・騒がしい場所は避ける
騒がしい場所は静かな場所に比べてはるかに会話が聞きづらくなります。ちゃんと聞いておきたい大切な話などがある場合は騒がしい場所は避け、なるべく静かな場所を選びましょう。
・定期的に耳掃除をする
難聴者はタダでさえ会話が聞き取りづらいのに、その上耳の中まで不潔にしているとますます会話が聞き取りづらくなってしまいます。定期的に耳掃除をして耳の中を清潔にしておきましょう。
・ストレスを溜めない
僕の場合。難聴の上に常に耳の中で「キーン」と言う耳鳴り音がしています。一時期はいつでも聞こえるこの耳鳴りに気が狂いそうになったこともありました。
耳鳴りは、疲労やストレスによってひどくなります。
十分な睡眠と休養をとり、できるだけストレスを溜めない生活をこころがけましょう。
また、理由はよく分かりませんが、水の中に居ると耳鳴りが気にならなくなります。
難聴者で、耳鳴りがストレスになっている方は、温泉やプールに入ったり、海や川べりを散歩してストレスを軽減することをおすすめします。
難聴の人に向いた仕事
対処法なども書いてきましたが、さりとて、やはり難聴者にとって会話の苦労は付きもの。
どうせだったら、こんな苦労をせずに済むならそれに越したことはありません。
そこで、この章では、難聴者に向いている仕事向いていない仕事、仕事の探し方などを中心に書いていきたいと思います。
仕事の種類
【向いている仕事】
- パソコン関係
データ入力、記事作成、PCへの入力作業など、PCを使って一人で作業が出来、またコミュニケーションもメールで行えるような仕事は難聴者にとって行いやすい仕事です。
- 工場勤務
コレは僕も経験がありますが、ガヤガヤした大きな騒がしい音がする工場では人の声が聞き取りづらいため、誰もが大声でしゃべります。
難聴者は大きな声で話してもらえば聞き取りやすくなるため比較的行いやすい仕事だといえます。
ただし、小さな音の聞き漏らしが重大な事故につながるような重作業の工場への勤務は注意が必要です。
- 心理カウンセラー
患者さんの話に耳を傾け、心の安定を取り戻すことを生業とする。この心理カウンセラーは実は難聴者にこそ向いているのでは?と僕は考えます。
と、言うのも心理カウンセラーの治療法に、「ただ黙って患者さんの話に耳を傾ける」という手法があるからです。
治療とは言え、ただ黙って話を聞いているというのは、けっこう辛いもの。
耳から入った話の内容を全て吸収し考えしまうのでは心も脳も負担が大きい。その点、難聴者であれば適度に耳から入る会話が寸断されるので、実は意外と向いていると言えます。
【向いていない仕事】
- テレフォンアポインター
- 接客業
- 音楽関係
このように難聴者に向いている仕事の共通点は、
- 人との会話を要さない
- 五感である耳にあまり頼らない
- 音が聞こえないことによる危険が少ない
事で、これらの共通点がある仕事が向いています。
逆に向いていないのは、
- 人との会話を大量にこなす
- 耳の感覚に頼る
- 音が聞こえないと危険
仕事ですね。ただし、難聴であるからと言ってこれらの仕事に就けないのか?と言うと、決してそうではありません。
今は補聴器でも小型で性能の良いものが出回っていますので、それらの補助器具を使ったり、また、他の人とシェアできる部分に関しては人に任せ自分は自分のできることをやる。と言った、ワークシェア的な発想。
その他、まだまだ、ここでは思いつきもしないような新たな発想や新技術が今後出てこないとも限りません。
要は、現時点のあなたが難聴と向き合い、しっかり自分が出来ることを把握した上で、それに必要な手段を探していけば良いのです。
仕事の探し方
あくまでもこの記事で紹介した対処法がおすすめですが、それでもどうしても悩みが解決しなかったら、転職も考えてみてください。念のためその方法も教えておきますね
ネットの発達した現在は一昔前に比べ仕事の探し方が多様化しています。
リ〇ナビ、@タ〇プや、DO〇Aなどの転職・求人サイトがずらり。ネットを開けば情報収集が容易に出来る、そんな時代になりました。
ですが、これらのサイトでの求人は、難聴者などにはあまり好意的でない一面があり、難聴であるというだけで最初の書類選考の段階で跳ねられたりすることがあります。
難聴がある、たったそれだけの理由で何社受けても通らないこともありますし、仮に難聴であることを隠して試験を受けても後の健康診断で経歴詐称を理由に跳ねられる可能性も無きにしもあらず。
全ての企業がそうであるとは言えませんが、難聴者にとって就職は健常者と比べて有利であるとは言えません。
そこでおすすめなのが、ハローワークや役所などの公的機関。
各自治体によって方針や就職支援策に差異はありますが、そもそも何かしらのサポートも期待できない求人サイトと比べると、これらの公共機関に頼った方が利に適っています。
公共機関の窓口に相談すれば、難聴者を受け入れている会社を紹介してもらえるかも知れないし、就労までのサポートを受けることができます。
もしかしたら、なかなか芽が出ない。そんな時もあると思います。
ですが、そんな時は、
・You can do it !! (あなたなら出来る!)
・Never giveup !! (決してあきらめない!)
この言葉を胸に抱き、がんばっていただきたいと思います。
まとめ
難聴者ゆえに仕事で苦労することは多々あります。
難聴者のメリットとして、
- 悪口が聞こえない
など無理やりそう思うようにすることは出来ますが、僕は難聴者で良かったなぁと思うことは基本的にありません。
ですが、難聴者であってもそれがなるべく苦にならない仕事の選び方、やり方はあります。見つけられます。
また、
- 他の人に難聴を理解してもらう
- 自らも難聴と向き合い受け入れる
ことで、僕は気持ちがずいぶん楽になりました。
難聴だから、ダメ、出来ない、不利と思うのではなく、難聴であることをものともしない。そんな精神的な強さを工夫によって身につけていきましょう。
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